母親からの素敵な贈り物

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風邪で熱を出してしまったとき。

いつも母は何を食べたいか尋ねてきた。消化の良いものがいいよね、と言って必ずおかゆを作り、フルーツや、アイスクリームなど、食べやすく具合の悪い体に負担にはならないようなものを買ってきてくれた。そんな時の母は、普段よりも何倍も優しく感じられ、熱が出ていても幸せな気持ちになるのだった。普段は、叱っている訳でもないときにまで、厳しい口調でものを言う母親だったから、尚更だ。

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風邪で熱を出した時には

だから、子供が寝込むようなことがあるときには、私もおかゆを作ることにしている。母が作ってくれたように、優しい味のする卵の入ったおかゆ。懐かしく感じる味だ。おばあちゃんは、柔らかいごはんなんて、まずくて食べたくないだろうとはいうのだが、娘はやっぱり、熱を出したときにはまたおかゆを作ってね、と言ってくれる。

それから、ももの缶詰。時々、普段も食べることがあるが、娘は黄桃の缶詰を好んでいる。冷たくて甘いシロップに漬け込まれた黄色の果実の食感は熱のある口塩梅にとても小気味良いので、いくつも食べてしまう位だ。

熱が下がっても、喉の痛みがあったり、咳が止まらなかったりするときには、大根おろしにはちみつを加えたものが良いらしい。たった1度か2度、幼い頃に口にしただけなので、効果がいかなるものかはわからないが、おいしいとは言えないまでも、その奇妙な味わいは忘れ難い。

遠い北の国で育った母だ。田舎の人の知恵なのだろうか。尋ねてみたことはない。

母から子へ時を繋ぐ歴史

そういえば、母の故郷でおばあちゃんが出す麦茶は、いつも薄甘い味がした。砂糖が入っているのだという。そして、おやつには切ったトマトにも砂糖がかかっていた。そうした諸々の過ごし方の違いというのが、私には新鮮に感じられ、とてつもなく愛おしく、楽しかった。

母は、こうして生きてきたんだ、と思うと、何だか嬉しく、不思議な気持ちになるのだった。

年頃には、料理学校へ通い、料理を覚えた母だが、私はまるで料理には関心がなかった。今になって思えば、ほとんどと言っていいほど毎日のように家族のために食事を作っていた母は偉い。父が外食を好まなかったことも理由だが、私も見習って出来るだけのことはしたいと思う。

母は、おばあちゃんの作った料理はあまり好きではなかったという。だから、食べること自体もあまり好きではなかったらしい。今では食いしん坊の母の、モノクロの写真は、ミニのワンピースからほっそりとした長い脚が覗いていた。


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