山芋が苦手だった私。
とろろご飯が食べられなかった。あの、ねばねばどろどろした、山芋のすりおろし。薄気味悪い食べ物としか思えなかった。ところが、義母に出された山芋料理は、シャキシャキと歯ごたえもよく、さっぱりと食べることができた。拍子切りにした生の山芋に、卵と青のりを加え、めんつゆをかけて食べるのだ。
山芋の栄養
山芋の栄養素は、滋養強壮効果が高く、生薬としても漢方で利用されているという。毎日食べると代謝が良くなる上に、便秘や美容、疲労回復にも良いが、加熱してしまうと栄養素が壊れてしまうので、生で食べた方が良いらしい。山芋を使った料理
加熱すると残念なことになるのだろうが、それでもやっぱり、好きなものは好き、食べたいものは食べたい。とろろご飯を食べない割には山芋に興味がわき、山芋料理を探した結果、煮るとおいしいことが判明した。これは意外な発見である。生で食べることが当たり前のようになっていた山芋を、他の野菜のように煮てみることはなかなか思いつかない。
山芋がひたひたになるほどの水にだしと砂糖と塩を入れ、山芋に火が通るまで茹でる。余分な茹で汁をこぼし、切ったイカを入れ、醤油を足してイカの色が変わるまでさっとひと煮する。山芋がほっこりとして、とてもおいしいイカと山芋の煮物の出来上がりだ。
下茹でしながら少し下味をつける煮方は、他の煮物を作るときにも応用できるので、ぜひお試しいただきたい。
山芋の磯部揚げにお目にかかったのは、TVだった。実家に帰ると、たまたま妹が作ってもてなしてくれた。
「これ、おいしいんだよね。」と妹。「あー、知ってる。TVで見たことあるー。」と私。
すりおろした山芋を、海苔で巻いて揚げるだけの簡単料理だが、ふわっとした食感がたまらない。たくさん作っても、あっという間に売り切れる。
そういえば、母が作ってくれたお好み焼きには、いつもすりおろした山芋が入っていた。焼き上がりがふんわりとするから、と言っていたのを覚えている。山芋の割合を多くして、小麦粉を少しと、卵に桜エビや、オクラなどを入れれば、山芋のおやき風に。
目新しいものでは、山芋のすりおろし200gに卵2個を加えてマヨネーズと塩コショウで味付けした、山芋ソース。小さく切ったカジキマグロ4切れにかけて、パセリと粉チーズを散らして250℃のオーブンで焼くこと15~20分。とろろグラタンは、小さなアルミカップに入れて焼くとお弁当にもぴったりだ。